■エヴァンゲリオンと僕
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、Amazonプライムでいつでも観られるようになりましたね。自分も早速、観てしまいました。劇場で観た時と変わらず、いえ、その時以上に感動してしまいました。
僕が初めてエヴァに触れたのは高校時代でして、TVシリーズと旧劇場版、新劇場版の『序』『破』をレンタルDVD、ブルーレイで鑑賞した後、丁度良いタイミングで公開された『Q』を劇場で観ました。
ハッキリ言って物語はよく分からない点が多く……(笑)まあ、それは今もそうなんですけど。それでも面白かったですし、何よりウルトラマンが好きなので、庵野監督のオマージュにいちいち喜んでましたね。てな訳で、自分はエヴァに関しては比較的軽めの、新しめのファンだと思っていたのですが、それでも10年ほどの月日が流れていて、それだけエヴァと関わってるんですねぇ……。時の流れは早い。
一通りは観ていると言ってもその後観返すようなこともなく、あまり熱心なファンとは言えない僕でさえ、完結編となる『シン・エヴァ』は滅茶苦茶楽しみでした。鬱を乗り越え、『シン・ゴジラ』を経た後の庵野監督が、どのようにエヴァを終わらせるのか。物凄く興味がありました。
そして、その結果は……物凄く清々しく、綺麗に、かつ徹底的に“終わらせた”。そのように感じました。ただ一言“終わらせた”と言っても、そこに至るまでの過程……手間、苦悩、喜び、色々なものが画面を通して伝わってきて、様々な感情を胸に抱きつつ、自分は“良かった”と思いましたね。庵野監督はじめ、スタッフ、キャストの皆さんに心から「お疲れさまでした」と「おめでとう」を言いたいです。
■シンジ君と異性
さて、そんなこんなで自分は満足できた『シン・エヴァ』なんですが、中でも好きなのがラストシーンなんですよ。
シンジ君と結ばれたのは、レイでもアスカでもなく、マリだったんですよね。
これ、僕としては完全に公式との解釈一致案件でございまして。(そんな言葉ある???)
エヴァって、シンジ君の成長物語じゃないですか。他者が怖くて、自分一人の世界に閉じこもっていたシンジ君が、エヴァに乗って、色んな人と関わって、段々と外に出ていく。要するに、大人になっていく。その過程でシンジ君と良い感じになるヒロインがレイとアスカな訳です。
んでもって、じゃあ、シンジ君にとってこの2人ってどういう存在にあたるのか?と考えたときに、レイは男の子が一番初めに好きになる異性、つまりお母さんで、アスカはお母さんの次に好きになる異性、つまり小〜中学校あたりで出会う初恋の女の子、という風に受け取れたんですよね、僕は。
でも、お母さんは勿論、初恋の女の子とだって大体の場合は結ばれないじゃないですか。付き合ったりはできるかもしれないですけど、最終的にはねぇ……。
それ自体は悪いことでもなんでもなくて、大人になる過程において良い経験になりますし、大人になって振り返ってみても良い思い出ですよね。
実際、『シン・エヴァ』劇中でアスカがシンジ君に「好きだったんだと思う」とかつての好意を告げるシーンは、2人は結ばれませんけど、清々しいシーンでした。
じゃあ、マリはシンジ君にとってどういう存在なのかというと、外に出て、大人になっていくにつれて出会う人、つまり大学生や社会人になってから出会う異性なんじゃないかな、と思うんですよ。
大人になって、外に出るようになったシンジ君が結ばれるのは、幼い頃から一緒のお母さん(レイ)でも初恋の女の子(アスカ)でもなく、これから出会う人(マリ)だった。
シンジ君が結ばれる相手が、『シン・エヴァ』までそこまで関わりが多くなかったマリだったのには、そんな理由というか、背景があるんじゃないか。朧気ながらに、そんなことを感じたのでした。
■変容した「現実に帰れ」というメッセージの意味
自分は旧劇場版を観たとき、庵野監督から「現実に帰れ」というメッセージを受け取ったように感じたんですね。
「そんなテーマ込められてない」という人もいますけど、少なくとも当時の自分はそう感じました。
登場人物は殆ど消えちゃいますし、なんたってラストシーンはシンジくんがアスカの首を絞めて「気持ち悪い」ですからね。
僕は『シン・エヴァ』を観終えたとき、旧劇と同じ「現実に帰れ」というメッセージを感じたんですよ。ただ、言ってることは同じでも、その言い方、伝え方が、物凄く温かくなっているように思えました。
「レイ(お母さん)もアスカ(初恋の子)もいつか卒業しなきゃいけないけど、現実で頑張っていれば、いつかマリに会えるかもね」
そんな、温かい言葉を貰ったように感じました。
この変化は、旧劇場版当時の庵野監督の精神状態や人間関係と、現在のそれが大きく変わったことが要因だと思います。
この変化、劇場で結構ジーンときてしまったのですが、今回の配信を機に、家でもジーンときてしまったのでした(笑)
庵野監督ご本人は否定されているそうなのですが……傍から見てる分には、マリってやっぱり奥様(安野モヨコさん)ですよねぇ……(笑)