イータイコト・イータイ

怪獣とヒーローと任天堂が好きな20代男が言いたいことを言いたいように言うブログ。

2021年“怪獣の春”を振り返る。『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』編

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※本記事は『ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉』のネタバレを含みます。

 

 

 

2021年春、それは“怪獣の春”でした。なんたって、ゴジラS.P<シンギュラポイント>』『SSSS.DYNAZENON』という、怪獣がテーマのアニメが地上波で同時に展開されていたのですから。

 

 

これらは新型コロナウイルスの世界的流行によって延期が繰り返されていた『ゴジラvsコング』の空白を埋め、怪獣ファンにとって心の拠り所となりました。まあ、この2作もコロナの影響で本来予定していた放送時期とズレている可能性もあるのですが、いずれにせよ怪獣アニメが2つ同時期に展開されたことは、本当に救いでしたね。

 

 

今回はその中でも『ゴジラS.P』について僕ぞひ丸が感じたことをつらつらと書き、次回書く予定の『SSSS.DYNAZENON』編と合わせて2021年春の怪獣アニメを振り返ってみたいと思います。

 

 

 

 

■日常を侵食する“怪獣総進撃

 


僕は怪獣作品の魅力とは「怪獣という“虚構”が“現実”の世界を侵食していくことの違和感」だと思っているんですが、今作ではそこがとても上手く描かれていました。

 

 

第1話では殆ど怪獣は登場せず、千葉県逃尾市という架空の街の様子が描かれるのですが、その描写がまさに“現実”なんですよ。街並みやそこを走る車、電車。地元のお祭り。そこに生きる人々の営み。そういった“現実”が丁寧に描かれていました。そしてラスト、地元のお祭りの会場に満を持してラドンが降り立つ。“現実”が丁寧に描写されていたからこそ、街に降り立つ“虚構”(ラドン)の異質さ、“ヤバいことが起こった”ということが画面からちゃんと伝わってくるんですよ。

 

 

 

 

 

 

このラドンを皮切りに、アンギラス、マンダ、クモンガ、ゴジラといった怪獣たちが次々に登場します。まさに“怪獣総進撃”。

 

 

 

 

 

 

 

 

今作では新たな怪獣が出現するたびにテレビ番組(ワイドショー)のコメンテーターや学者、政府の記者会見の様子がインサートされ、それに対する世間の反応も描かれました。ラドンの出現を観光資源化しようと盛り上がる逃尾市の様子。アンギラスが出現すれば猟友会や自衛隊が出動して大騒ぎになり、市をあげての捕獲作戦が展開。大量に現れたラドンが紅塵で世界中の空を覆う様は各国のニュース映像で伝えられました。怪獣被害が増していく中で不謹慎ムードが高まったのか、ラドンをモチーフにした定食メニュー、“ラ丼”が提供中止になったりするのも芸コマでした(笑)。

 


こういった丁寧な描写の積み重ねが視聴者にアニメの中という“虚構”を“現実”と思わせ、怪獣という“虚構”がその“現実”を侵食していく様子が面白くなるんですよね。

 

 

 

 

■“紅塵”(アーキタイプ)という発明

 


今作では、一連の怪獣事件“破局”の鍵を握るという物質、“紅塵”(アーキタイプが登場します。

 

 

この“紅塵”(アーキタイプ)、登場人物たちが物っっっ凄く尺を使って説明してくれるのですが、僕はイマイチ良く分からず(笑)まぁ何だか凄い物質らしいです。

 

 

ただ、恐らくこの“紅塵”(アーキタイプ)という設定の凄いところって、意味が分かるとか分からないとか関係なく、視聴者に「何かとんでもないことが起こっているぞ」ということを伝えることができる、という点だと思うんですよ。

 

 

今作の人間ドラマパートは殆どがこの“紅塵”(アーキタイプ)の謎の解明に充てられているので、それだけ時間をかけられると「何か良く分からんが凄いものらしい」というのは伝わってくるんですよね。

 

 

そして“紅塵”(アーキタイプ)が全ての怪獣たちに関係していることも度々言及されるので、僕は「この物質は凄い!」「この物質の謎に迫ることは実質怪獣ドラマパートなんだ!」と、よく分からないながらにワクワクすることができました。

 

 

 


■魅力あるキャラクターたち

 

 

今作はキャラクターも良かったです。

 

 

 

 

 


まず主人公の神野銘と有川ユン。2人とも天才過ぎて基本何を言ってるのか良くわからないんですが(笑)、よくある“天才過ぎて人付き合いが苦手”なキャラクターにならなかったのが凄く好感を持てました。2人ともちゃんと周りの人と話ができて、お礼が言えて、1人の人間として好きになれるキャラクターなんですよね。W主人公でありながら、ずっと離れ離れのままチャットを介して協力していた2人がようやく出会えた最終回が好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

2人をサポートするAIのペロ2やオオタキファクトリーの面々も好きでした。侍(ハベル)なんかはもっとユンに対して「何言ってんのかさっぱり分からん……」的なスタンスのキャラになると思ってたのに、良い意味で裏切られましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一見、悪役顔のBBらシヴァの人たちなんかも、根は良い人たちそうだったのも意外で良かったです(李博士が死んじゃった時は悲しかった……)。あまり謎解きのストレスにならないので、とても観やすかったです。

 

 

 

 

そして外せないのが……やはりジェットジャガーでしょう。『ウルトラマンZ』のセブンガー然り、2020年代はこれまで目立たなかったロボット怪獣にスポットを当てる流れが来ているのでしょうか(笑)「CV釘宮理恵ジェットジャガーアンギラスのツノから出来た槍で戦う」という、少し前の自分に言っても絶対に信じないであろうことが起きてしまいました(笑)

 

 

 


■真打・ゴジラウルティマ

 

 

これまで挙げてきた点も勿論『ゴジラS.P』の好きな点なのですが、自分の中で最も視聴モチベーションの源となっていたのはやっぱりゴジラなんですよね。いや、ゴジラ作品なんだから当たり前なんですけど(笑)

 

 

今作のゴジラは『シン・ゴジラ』と同じように、最初は従来のゴジラとは全く違う姿であり、形態変化を繰り返して“おなじみのゴジラ”になります。今作においてその“おなじみのゴジラ”こそがゴジラウルティマという形態なのですが、これがねぇ〜〜〜、出てくるまでかなり引っ張ったんですよね(笑)なんたって、全13話中、ウルティマになったのは第10話のクライマックスですからね(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、待たされた分、ウルティマ登場時は本っっっ当にテンションブチ上がりましたね。あのゴジラのテーマがゆっくりと流れ始めた瞬間、思わず背筋伸ばしちゃいましたもん。しかも男声コーラス付きでドバドバ放射熱線ですからねぇ。上がらんわけがないんですよ。

 

 

このウルティマ登場からの東京大炎上の流れ、明らかに『シン・ゴジラ』のオマージュなんですけど、シンゴジ好きとしては「シンゴジもオマージュされる側の作品になったのか……」と、時の流れの早さを感じたりもしました。

 

 

 


■まとめ

 

 

と、まぁ、ここまで書いてきたようなことが僕の『ゴジラS.P』の好きなところですね。今作のおかげで毎週木曜日が本当に楽しみでしたし、僕にとって日々を生きる糧となる作品でした。毎週放送のアニメゴジラは未知の領域だったのですが、全然アリでしたね。国産ゴジラは今のところ新たな動きが無いのですが、今作が良かったので次の展開がまたアニメだったとしてもそこまで抵抗とかガッカリ感は無さそうです、僕としては。

 

 

 

 


ところで最終回ラストの“アレ”はお遊びのサービスなのか続編の示唆なのか……個人的には前者のような気がします(笑)