「10にまつわる4つのお題」の中から好きなものを選んで語るという、はてなブログ10周年記念のキャンペーン。
はてなブログでこの「イータイコト・イータイ」を始めて、およそ2年半。今までこういうお題記事を書いたことはなかったのですが、良い機会だと思い、やってみることにしました。
今回、僕ぞひ丸は、「好きな〇〇10選」をセレクト。敬愛してやまない名作『ウルトラマン 空想特撮シリーズ』から、好きな台詞を10個選んでご紹介します!
1.「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ……シンパイスルコトハナイ」
第1話「ウルトラ作戦第一号」より、ウルトラマンの台詞です。
宇宙怪獣ベムラーを追って地球にやってきたウルトラマンは、同じくベムラーを追尾していた科学特捜隊のハヤタ隊員が乗る小型ビートルと誤って衝突、死なせてしまいます。ウルトラマンは、一心同体となることで命を共有し、ハヤタ隊員を救うと申し出ます。そしてベータカプセルを渡し、困ったときに使えと指示します。しかし、じゃあ使うとどうなるのか……という重要な点に関しては、上記の台詞ではぐらかすのです。
な、なんつー奴だ!!!!!
ハッハッハじゃないよ!!!教えなさいよ!!!一番重要なことを!!!と言いたくなります。なんて怪しい宇宙人!!!
この時のウルトラマンの声は、本来は「シュワッチ!」などの掛け声を担当した声優の中曽根雅夫さんが担当するはずが、スケジュールの都合で叶わず、現場にいた編集技師の近藤久さんが務めることになったそうです。本職でない方の演技なのでま〜あ棒読みなのですが、却ってそこが宇宙人としてのウルトラマンの不気味さ、底知れなさ、怪しさに繋がっていますよね。
しかし、この怪しい宇宙人が後に日本を代表するヒーローになる訳ですから、こうした怪しさも「スターのあの頃」みたいな感じでなんとな〜く感慨深くなりませんか。ならないですかね(笑)個人的にはそのように感じて好きな台詞です。
2.「スペシウム光線ですねキャップ!」
第2話「侵略者を撃て」より、フジ隊員の台詞です。
日本で最も有名な必殺技の1つであるスペシウム光線に名前をつけたのはフジ隊員なんですよねぇ。
死んでも脱皮して蘇る不死身のバルタン星人が唯一苦手とする物質が火星にあるスペシウムであり、それを持たない地球人類は絶体絶命のピンチに陥るのですが、ムラマツキャップは「あるいは、彼なら……!」と、ウルトラマンに一縷の望みを託します。
そして激しい空中戦の末、バルタン星人を仕留めたウルトラマンの光線。蘇ることなく炎上して堕ちていくバルタン星人を見て、フジ隊員が口にしたのが「スペシウム光線」という名前でした。
これ、単純な技の名付けシーンではないんですよ。ドラマの中でスマートにスペシウムという物質の名前が出てくるので、唐突感がなく、「何故ウルトラマンは不死身のバルタン星人を倒せたか」という問いへのアンサーにもなっているんです。凄い脚本ですよ。
3.「成功率99%のロケットに自分で乗り込んで宇宙に飛び出した毛利博士と、たとえ競争に負けたと言われても100%完全なロケットを作り出すまでジーッと我慢している岩本博士と、科学者として、果たしてどっちが勇気のある、正しい生き方だろうね。よく考えてみようじゃないか」
第16話「科特隊宇宙へ」より、ムラマツキャップの台詞です。
人類初の金星探査ロケットの開発競争は、科特隊のブレーンである岩本博士のフェニックス号の完成よりも前に、毛利博士のオオトリが飛び立ったことで終止符が打たれました。
科特隊に普段から出入りしているホシノ少年は、岩本博士が競争に負けたと報じられたことの悔しさから泣き出してしまうのですが、そんな彼へムラマツキャップがかけたのがこの言葉でした。
2人の科学者、どちらが勇気があるのか、正しいのか。キャップはどちらの科学者の姿勢も否定せず、肯定します。その上で、最終的な判断はホシノ君に委ねるのでした。
この場面、ただ単にホシノ君を慰めるためなら岩本博士の擁護をすれば良いのですが、キャップはそうしないんですよ。その場は収まるかもしれませんが、それだけではホシノ君の考える力というか、思考の機会を奪ってしまいますからね。
ムラマツキャップの人格者としての側面が色濃く出ていて、とても好きな台詞です。
4.「ウルトラマンは光の子であった。宇宙の彼方、M78星雲からの正義の使者ウルトラマンは、たとえハヤタが意識を失っていようと、光の国のスーパーマンだったのである!」
第22話「地上破壊工作」より、ナレーターの台詞です。
地底人らによって拉致されたハヤタ。全てがセピア色の地下空間の中で、ハヤタは催眠マスクをかけられます。彼らはウルトラマンがハヤタの変身であることを知っており、ハヤタを洗脳することでウルトラマンを地上破壊の尖兵にしようとしていたのでした。
しかし、計画通り洗脳されたハヤタがウルトラマンになると、発せられた光で地底人たちは全滅。そして地上に飛び上がったウルトラマンは洗脳など一切受け付けておらず、先んじて地上に放たれていた尖兵、テレスドンを粉砕するのでした。
闇に生きる地底人たちの思惑など超越する、圧倒的な光。絶対的なヒーロー。そうしたウルトラマンの力強さをどストレートに称える名ナレーションだと思います。か、格好良い〜〜〜〜〜!!!!!
5.「怪彗星ツイフォンも去り、美しき大地に再び平和な明日が訪れたのであります!くぁ〜〜〜〜〜っ!」
第25話「怪彗星ツイフオン」より、イデ隊員の台詞です。
地球に迫る怪彗星ツイフォン。間一髪で衝突は免れたのですが、今度はツイフォンから発せられた宇宙線の影響により、水爆が誤作動を起こして爆発するのではないか……という危機が訪れます。
とはいえ、その危機も杞憂に終わり……。晴れやかな気持ちで日本アルプスの広大な雪山の景色を眺めながらのこの台詞。僕がこの台詞の何が好きって、もう壮大な前フリなんですよコレ(笑)
目を瞑りながら鼻の穴をおっぴろげて「空気が美味い」といった表情で息を吸うイデ隊員なのですが、目を開けると山間から冷凍怪獣ギガスが顔を出しており、思わず「ホアァ!!!??」と絶叫(笑)
何度観ても笑ってしまう……ウルトラマン作中でも屈指のお笑いシーンだと思います。
6.「ハヤタより殿下へ!」
第27話「怪獣殿下(後篇)」より、ハヤタ隊員の台詞です。
大阪でのゴモラと科特隊、ウルトラマンの一大決戦が終了。戦いの中で紛失したベータカプセルを届け、勝利に貢献してくれた怪獣殿下ことオサム君へ、ハヤタは流星バッヂを授けます。
夕焼けの中、本部へ帰投するビートルの中から、ハヤタはオサム君へ通信をかけるのでした。
オサム君って、ウルトラマンの正体がハヤタだということには気づかないんですけど、ベータカプセルがウルトラマンの大事なものだと見抜いたり、怪獣の存在を誰よりも信じていたり、いわばテレビの前の視聴者の子供に一番近い存在なんですよね。
そんな彼に、ハヤタが2人だけの秘密として、流星バッヂをくれて、通信までかけてくれる。コレ、テレビの中のウルトラマンというヒーローが、画面の前でいつも応援してくれている子どもたちへお礼をしてくれた、というような図式なんですよね。
コレに燃えないわきゃあないでしょう!
7.「怪獣は所詮、人間社会には入れてもらえない哀しい存在なんだ」
第30話「まぼろしの雪山」より、アラシ隊員の台詞です。
飯田山に現れる伝説怪獣ウーと、それと心を通わせる少女、ユキ。その関係にまるで親子のような情を感じ取り、攻撃を躊躇するイデ隊員へ、アラシ隊員が言い放ちました。
僕が『ウルトラマン』という作品が優れていると思う点の1つが、「作品に対しての検証を忘れない」ところなんですよ。
今まで「人類の平和を脅かすから」という理由で倒されてきた怪獣たち。しかし、本当に怪獣を排除することが絶対的に正しいことなのか?彼らは力を持ちすぎたとはいえ、地球の生物です。同情すべき点もあり、見方によっては科特隊やウルトラマンは悪役にもなり得ます。制作陣もそれを痛いほど分かっており、見過ごしてはならない問題だと感じていたのだと思います。
「人間社会には入れてもらえない哀しい存在」。それが、『ウルトラマン』制作陣が定義した怪獣でした。ただ倒すべき悪役ではない、同情すべき一個のキャラクターなんだと。
この話を皮切りに、終盤に向けて、『ウルトラマン』は作品の抱える問題への回答を示す話が頻発します。そういった意味でも印象に残る台詞です。
8.「両方さ。貴様のような宇宙の掟を破る奴と戦うために生まれてきたのだ!」
第33話「禁じられた言葉」より、ハヤタ隊員とウルトラマンの台詞です。
「貴様は宇宙人なのか、人間なのか!」とメフィラス星人に問われたハヤタ隊員は、上記の台詞で即答します。
ウルトラマンに限らず、後年のヒーローたちが“ヒーローとしての自分”と“人間としての自分”の間で葛藤するようになっていく中、ハヤタ(ウルトラマン)は悩まない!最高に格好良い返しですよね。
『ウルトラマン』作中では、ハヤタとウルトラマンの意識、各シーンでどちらが表に出ているのか、というところはハッキリと示されないのですが、僕ぞひ丸は、この台詞は恐らくハヤタとウルトラマン、2人の台詞だと思うんですよ。
メフィラス星人の問いに対し、脳内でハヤタとウルトラマンの相談が行われ、「そんなこと、決まってるよな」と一瞬で2人の意見が一致、その上で“ハヤタの口から”発せられたのではないか……と、そのように思っています。なんとなくですけどね。
9.「許してくれ……地球の平和のため、やむなくお前たちと戦ったのだ……俺を許してくれ……」
第35話「怪獣墓場」より、ハヤタ隊員とウルトラマンの台詞です。
「人間社会には入れてもらえない哀しい存在」、怪獣。今まで心ならずも葬ってきた彼らを弔うべく、科特隊は怪獣供養を行うことにします。
それを受け、基地の屋上でハヤタは力なく上記の台詞をつぶやき、ウルトラマンに変身。空を見上げて詫びるのでした。
もう、コレに関しては理屈云々ではなく、言葉の重みだけで泣いてしまいます。合掌。
10.「ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか」
第39話(最終話)「さらばウルトラマン」より、ゾフィの台詞です。
最強の怪獣ゼットンに敗れたウルトラマンを迎えに来た光の国の使い、ゾフィ。赤い玉の中で行われるゾフィとウルトラマンの会話は、まさに超越者、神々の会話です。
ウルトラマンはハヤタを死なせるわけにはいかないとして、自身の命をハヤタに残したまま光の国へ帰ることを希望します。即ち、自分は死んでも良いというわけです。
これに驚いたゾフィが発したのが上記の台詞。実はゾフィは生命を2つ持ってきているので、最初からウルトラマンとハヤタにそれらをあげていればこんな会話自体不要だったのですが、そうしようとはしていませんでした。
数万年を生きるM78星雲人にとって、せいぜい100年ほどしか生きられない地球人は庇護の対象ではあっても、自分たちと同等の存在ではなかったのでしょう。
そう考えるとゾフィが薄情に見えますが、実際それだけ寿命が違えば仕方ないのかもしれません。だからこそ、地球人に生命をあげる決心をしたウルトラマンの覚悟に、ゾフィは驚いたんでしょうね。
恐らく、最初はウルトラマンもゾフィに近い感覚だったのかもしれません。だから「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ……シンパイスルコトハナイ」なんて高笑いできたのかも(笑)
しかし、地球での暮らし、科特隊をはじめとする地球の人々との交流を経て、ウルトラマンの中で変化があったのでしょう。“怪しい宇宙人”から“ヒーロー”への変化が見て取れて、なんだかジーンときてしまいます。
■まとめ
……てなわけで、『ウルトラマン 空想特撮シリーズ』の好きな台詞を10個ご紹介しました。まだまだ好きな台詞はあるのですが、10個までですからね(笑)それらはまた何かの機会があれば、ということで。書いてて楽しかったです。