「ウルトラマンって、怪獣なんてモンが出てくるから品位が下がってんだよな」
ある日、母がこんなことを言い出しまして。『シン・ウルトラマン』の特報映像を観ていた時のことです。
母は1961年(昭和36年)の生まれで、初代マンのまさにリアルタイム世代。それ故に、同年代の庵野秀明氏が企画した初代マンのリブート作となる『シン・ウルトラマン』には、並々ならぬ期待を寄せています。特報映像を観た回数も、もう何十回になるか分からないほどです。
そんな母が急に“怪獣不要説”を唱えたことに、僕は面食らいました。27年間一緒にウルトラマンを観てきましたが、そんなことを言い出したのは初めてだったので(笑)
僕が「一体どうしちまったんだいマミー」と問うと、母はポツポツと喋りだしました。
・ウルトラマンは極限までシンプルで、神々しさを感じる。ていうかマジで神。
・中に入っている古谷敏さんのプロポーションも含めてマジで神。
・この映像もただ立ち上がるだけなのに震えるほど格好良い。
・でも怪獣は明らかに荒唐無稽な子供向けの存在で、ウルトラマンと取っ組み合おうものなら、一緒に映っている神(ウルトラマン)まで陳腐に見えてしまう。
・こういう思いは初代マンの放送当時(1966年)からあった。
・『シン・ウルトラマン』は久々に神々しいウルトラマンが見られそうで期待しているが、怪獣まで出てくることはいただけない
……
………
……………
あ、あの〜……
『ウルトラマン』は、ウルトラマンが怪獣と戦う番組なんですが……(困惑)
リアルタイムで初代マンに夢中になり、還暦を迎えた今日でさえリブート作を楽しみにしているような母から、このような意見が噴出したことに驚きを隠せませんでした。そこで、恐る恐る訊いてみました。
「あの〜、じゃあウルトラマンは一体何と戦えばよろしいのでしょうか……」
「悪い人間とかで良いじゃん。キャップ(キャプテン・アメリカ)が戦ってるヒドラみたいな」
お前は何を言っているんだ(ミルコ・クロコップの画像)
でも、でもですよ。母の意見を「いやいやいや……」と簡単に否定するのは簡単ですけど、新しいものっていうのは、こういう斬新な視点から生まれるものですからねぇ。
ということで、なんとなくですが、「怪獣が出ないウルトラマン」について妄想してみました。
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世界的な宝石強奪犯であるダイヤモンド・キック一味が潜伏する施設を突き止めたハヤタ隊員。本部に連絡をとり、応援を待つことに。深夜の大捕物が始まるかと思われたが、残念ながら感づかれ、一味はヘリに乗り込んでしまう。
「マズい!」
そこでハヤタ隊員はベータカプセルを使いウルトラマンに変身!
飛びたったばかりのヘリを鷲掴みにし、中を覗き込むウルトラマン。
「うわあああ!」
ダイヤモンド・キックたちはヘリの中から銃を撃つも、ウルトラマンには全く効かない。地上では武装した手下たちがサーチライトでウルトラマンを照らして攻撃するも、こちらもまるで効果なし。
「ヘアッ!」
ヘリを掴んだままゆっくりと足を伸ばして地上の敵を薙ぎ払うウルトラマン。そちらが片付くと、今度はヘリを地上へ叩きつける。
夜の闇に爆炎が広がり、照らされるウルトラマン。白い目と青いカラータイマーが光る。
「あれぇ!?」
科学特捜隊と武装した警官隊が到着すると、燃える建物の前に、縄に縛られてのびた状態のダイヤモンド・キック一味が倒れていた。
「いやあ、もう少しで逃げられてしまうところだったんですが、ウルトラマンが解決してくれましたよ!」
物陰から現れたハヤタは笑顔でそう語るのだった。
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……あれ?
案外面白いのでは……。
流石にメインのTVシリーズでは難しそうですが、その他の媒体では意外とイケそうな展開じゃないですか?ちょっと大人向けで、『ウルトラマン』というよりは『ウルトラセブン』っぽいですけどね。
……でもまぁ、やっぱり僕は、怪獣と戦うウルトラマンの方が好きだなぁ(笑)