※本記事は、『SSSS.DYNAZENON』のネタバレを含みます。
2021年春、それは“怪獣の春”でした。なんたって、『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』、『SSSS.DYNAZENON』という、怪獣がテーマのアニメが地上波で同時に展開されていたのですから。
前回の『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』編に続き、今回は後編として『SSSS.DYNAZENON』の好きな点についてあーだこーだ語ります。
■人間関係の描写
『SSSS.DYNAZENON』(以下、今作)は『SSSS.GRIDMAN』(以下、前作)と同じく、怪獣が3DCGの街並みの中で大暴れするのが豪華でした。そこへ分離合体ロボであるダイナゼノンが登場し、時にはそれぞれバラバラの形態で連携し、時には合体して怪獣を倒す。毎回スカッとする、1話完結の面白さがありました。この辺りは前作から正当進化というか、順当にパワーアップしていて、信頼、安心感がありましたね。
……と、まぁ、怪獣やダイナゼノンの描写についてはこのぐらいしか語ることがないんですよ。「期待通りにパワーアップしていて毎週楽しかった」、良い意味でこれだけでした。「怪獣アニメを振り返る」って言ってるのにそれだけで良いのかよ、と自分でも思うんですけど(笑)
僕が今作で嬉しかったのは、登場人物たちの人間関係が濃密に描かれるようになった点なんですよ。僕が前作に抱いていた一番大きな不満点が、「登場人物たちの人間関係が希薄なこと」だったんです。なんかねぇ!!!現代感というか、今どきの高校生感を気取ってあんまりくっつかなかったでしょ!!!(大声)今作では前作の良かった点がパワーアップし、不満点が大幅に改善されていました。
それを一番初めに感じたのが第1話、ガウマさんが蓬くんの家に押しかけてきて一緒に風呂に入るシーンなんですよ。もうこの時点で「改善ッ……!前作からの改善ッ……!」って1人でガッツポーズしてましたからね(笑)
その後の、約束をすっぽかされても雨の中待ってた蓬を想って夢芽に怒るガウマさんも良いじゃないですか。人が人を想って怒ってんですよ。人と人のときを想うJT。人と人。ドラゴンボールZ、人と人!!!(何言ってんの???)
第1話の段階で人間関係の描写が前作より色濃くなっていたので、「今作は期待できる!」と勝手に盛り上がってしまいましたね(笑)
その後も色んなことがありました。
ガウマ隊のみんなでダイナゼノンの操縦訓練をしたり、プール行ったり、小型怪獣を捕まえるために奔走したり、グリッドナイト同盟の2人も交えて花火したり……
「こういうので良いのよこういうので」を地で行く交流の描写の積み重ねが大変……大変!!!心地よかったですね。
■“生きづらさ”と怪獣優生思想
本作の登場人物はみんな“生きづらさ”を抱えていました。
蓬は母親の再婚、夢芽は姉の死の謎と両親の不和、ガウマは現代に蘇ったことへの戸惑いと行方知れずの姫、暦は稲本さんとワンチャンあったんじゃないかという過去への後悔、ちせは学校に馴染めない不登校、などなど……。
ガウマさんの生きづらさは流石にブッ飛んでますが(笑)、彼らが抱える生きづらさはすごくリアルで、私達の中、または周りにたくさん横たわっているものですよね。だからこそ彼らの傷つく姿、迷う姿、間違える姿がすごく身近で痛々しく、また、愛おしく見えて。その生きづらさを、乗り越える……とまではいかなくても、折り合いをつけて生きていくようになる様が、とても感動的でした。
また、今作は敵役である怪獣優生思想にも生きづらさがあって、そこもまた良かったんですよね。
僕、なんとなく彼らと自分(怪獣オタク)を同一視してしまったんですよ。
彼らは怪獣たちによる世界の浄化……のようなことを標榜しているのですが、まぁ簡単に言えば「生きづらい世の中を怪獣で消しちゃおう」ということなんですよね。
怪獣作品を観た後のスカッとする、解放感というか、破壊衝動が満たされた感覚ってあるじゃないですか。彼らって、あの感覚から離れられなくなった人たちなんだと思うんですよ。
でも彼らは大人でもあるので、自分たちの行為にどこか迷いというか、後ろめたさを感じている部分を覗かせるような一面もあって(そこのパートを担当するのは主にムジナさん)。
最終回、消えていく中でムジナさんとジュウガが言った
「これで良かったのかな……」
「いや……怪獣たちの未来は、まだ……!」
という言葉。これ、「怪獣作品に逃げてばっかじゃ駄目だよなぁ……」と思いつつ、「でも怪獣大好き〜〜〜離れられねぇ〜〜〜!!!!!」とも思う自分とリンクしてしまい、ちょっとホロリときてしまいました。
敵も味方も含めて、登場人物みんな好きになれる作品でしたね。
■最強概念“よもゆめ”
前置きはここまでだ。
分かってるんだろ?今作の最大の魅力を……強みを……ストロングポイントを!!!
最強概念“よもゆめ”の誕生である。
“よもゆめ優生思想”という言葉まで生み出した麻中蓬と南夢芽のカップリングは、小難しいテーマや議論なんざ脇に置いて目の前の尊さを全身で享受することの素晴らしさを思い出させてくれた。
煉獄杏寿郎「よもゆめよもゆめだ。(よもゆめは)美味い!美味い!美味い!」
仮によもゆめ無限列車なんてものがあったら煉獄さんは迷いなく乗るだろう俺だってそーする誰だってそーする
なんたってラスボス怪獣ガギュラはよもゆめの情動から生み出されたんだからな……作中最強の概念なのだ。
よもゆめは全話全シーン素晴らしいのだが、俺のイチオシはなんたって第9話ラストなのだ。みんなで花火やろう……アレ?南さん……浴衣!!?浴衣に!!?ユカタン半島に!!!??
他者とのコミュニケーションに難があった夢芽がこう……蓬の思いに精一杯答えてあげようとした、この……なんだ!!?どう表現すれば……!!!!!
君が少し俯いたまま♪話していたからさ♪(唐突に始まるストロボメモリー)
どうやらこの記事もエンディングのようだな……ストロボメモリー……メモリー……ようやく見つけたぜ……俺のメモリイイイイイイイ!!!(立木文彦「メタルゥ!!!」)
とても楽しかった♪君が笑っていた♪(投げやり)
ムジナさん「(この記事の終わり)これで良かったのかな……」
ぞひ丸「いや……よもゆめの未来は、まだ……!」