イータイコト・イータイ

怪獣とヒーローと任天堂が好きな20代男が言いたいことを言いたいように言うブログ。

僕が好きな仮面ライダーに、また会えるかもしれない。【『シン・仮面ライダー』公開目前】

 

仮面ライダー 本郷猛の真実 (ぶんか社文庫)

 

『シン・ウルトラマンは、ウルトラマンのことが大好きな僕の人生の、1つの総括とも言える映画だった。制作が発表された時から、この映画のことを考えなかった日は無いと言っても過言ではないくらい楽しみだったし、公開が迫ってくるにつれて、興奮と緊張で心身のバランスが崩れていった。鑑賞後はメチャクチャ体調を崩し、仕事を早退した日もあった。それくらい、自分にとって重要で大切な映画だった。ウルトラマンは、物心つく前から僕と一緒にいてくれた、祖父であり父であり兄であり友達であり……この例え、そんなに上手くないか……いや、でも、とにかく大切な存在だ。だから、『シン・ウルトラマン』は僕を狂わせたし、何なら僕は自分から望んで狂いに行った。大切な思い出の映画だ。

 

 

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そして今、『シン・仮面ライダーの公開が迫っている。でも、『シン・ウルトラマン』の時と違って、僕の心はフラットだった。勿論、楽しみではあったけど。物心つく前から人生の中心だったウルトラマンと違い、仮面ライダーは、比較的年齢を重ねてから好きになったコンテンツだった。

 

 


僕と仮面ライダーの出会いは最悪だった。5歳の頃、テレビマガジンに『仮面ライダークウガ』の記事が載っていた。僕はそれを読んで、初めて仮面ライダーというヒーローの存在を知った。父に訊いてみると、父は初代『仮面ライダー』の直撃世代で、大好きだったらしい。「今も仮面ライダー、テレビでやってるんだ!」と少し嬉しそうな父の笑顔が、幼稚園児だった僕はなんだか嬉しくて、次の日曜日、父と一緒に『クウガ』を観てみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 


次の日曜日、テレビをつけると、クウガが怪人にチューされて、のたうち回っていた。僕は何が起きたか分からなかったが、とにかく怖かった。そう、その日放送されたのは、第18話「喪失」。キノコの怪人メ・ギノガ・デの毒を口移しでくらってしまったクウガは、なんと死んでしまったのだ。青ざめた顔で苦しみながらのたうち回る五代雄介。演じるオダギリジョー氏の熱演も相まって、朝の子ども向け番組とは思えない光景が、そこにはあった。僕は怖すぎて、すぐに逃げてしまった。父はとても気まずそうだった。そこから、もう仮面ライダーを観る気は失くなった。

 

 

 

 

 

 

翌年、『仮面ライダーアギト』の放送が始まった。あの1件以来、すっかり仮面ライダーに苦手意識を持っていた僕だったけど、番組が変わったのだから、もう一度観てみようと思った。そしてある日曜日、恐る恐る『アギト』を点けてみた。すると、アギトが川に浮かんで流れていた。その回は第8話「赤い炎の剣」。前話でカラスの怪人クロウロードに敗れたアギトが、川に堕ちてそのまま流れていたのだ。その絵面が怖すぎて、僕はまたすぐに逃げた。畜生、仮面ライダーってなんなんだ。でも、このまま逃げたのでは、何となく決まりが悪い気がして、そこから数週間は『アギト』を観ていた。しかし、暫くして、また観るのを辞めた。ただでさえ怪人が怖かったのに、仮面ライダー同士が戦っていたのだ。その光景がまた怖くて怖くて、子どもながらに「こいつら(アギト・G3・ギルス)、もし僕が怪人に襲われてても、構わず喧嘩してるんじゃないか」と思った。仮面ライダーは僕を守ってくれない、本気でそう思った。もう観るのは辞めようと決めた。そこから4年ほど、仮面ライダーは僕の人生の中に存在しないものになった。

 

 

 

 

 

 

 

 


小学5年生から6年生に上がる頃、近所にコンビニができた。そこに、ある1冊の本が売っていた。仮面ライダー 本郷猛の真実』だ。

 

 

 

 

 

 

初代『仮面ライダー』で本郷猛を演じた藤岡弘、氏の自伝だった。何故だか分からないけど惹かれるものがあって、僕はその本を買った。読んでみると、そこには知らないことばかりが書いてあった。

 

 


藤岡さんのバイク事故で『仮面ライダー』という番組自体が存続の危機に陥ったこと。その対策として2号ライダーが誕生したこと。藤岡さんが愛媛からたった1人で上京した自分の孤独と、「二度と人間には戻れない」本郷猛の孤独を重ねていたこと。そんな思い入れのある役を、自分のミスで続けられなくなった悔しさ、周りへの申し訳なさ。何としても怪我を治して復帰するのだという決意。藤岡さんのことばかりではない。仮面ライダーを信じる子どもたちを裏切らないために、藤岡さんの降板を断固として拒否した平山プロデューサー。映画からテレビの現場へ流されて、目にもの見せてやると気合が入っていたスタッフたち。一致団結して危険なアクションに取り組んでいた大野剣友会の面々。

 

 

 

それらにとても心打たれて、僕は初代の『仮面ライダー』を観たいと思った。早速、TSUTAYAでレンタルして、貪るように観た。人間の自由のためにショッカーと戦う仮面ライダーの姿はとてもカッコ良くて、僕はすぐに夢中になった。トラウマがあった『クウガ』もレンタルして、夢中で観た。小学校高学年になっていたこともあり、怪人への恐怖は失くなっていた。幼少期は気づかなかった物語の面白さに気づき、大好きになった。ちょうどその頃、テレビでは『仮面ライダーカブト』が放送されていて、それもリアルタイムで毎週観た。僕はすっかり仮面ライダーが好きになっていた。そこからは、全作ではないけれど、昭和、平成を問わず色んな仮面ライダー作品を観て、僕は元気を貰っていた。

 

 

 

でも、時が経つにつれて、僕は仮面ライダーから元気を貰えなくなっていった。好きではなくなっていった。理由は色々あるけれど、パッと思いつくのは、作風のハチャメチャさについていけなくなったことと、客演作品においての過去ヒーローの扱いの悪さが、僕の許容できるラインを超えていったことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、仮面ライダーを制作する東映パワハラ・セクハラ問題が、一向に進展を見せない現状に対する落胆もある。

 

 

 

www.huffingtonpost.jp

 

 

 

なので僕は今、現行のライダーは追っていない。かれこれ3年ほど経つ。コンテンツから得られる喜びよりも怒りの方が勝っているからだ。精神の自衛のためだ。勿論、これは僕の個人的な問題であり、現行作品を愛して、応援している人はそのままそれを続けて欲しい。

 

 

 

こんな感じの仮面ライダー遍歴を持つ僕。『シン・仮面ライダー』は勿論楽しみだけど、仮面ライダーだから」というよりは「庵野さんの作品だから」楽しみ、という精神状態だった。『シン・ウルトラマン』の時のような、待ち焦がれるという気持ちは全くなかった。

 

 

 

でも、でも。

 

 

 

2023年2月10日に公開された予告編を観てしまった。

 

 

 

 

 

 

常用サイクロンからサイクロン号への変形シークエンスが、そこにはあった。

 

 

 

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー製作委員会」
『シン・仮面ライダー』予告より引用 
https://www.youtube.com/watch?v=PUcK-59_ykI



 

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー製作委員会」
『シン・仮面ライダー』予告より引用 
https://www.youtube.com/watch?v=PUcK-59_ykI

 

 

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー製作委員会」
『シン・仮面ライダー』予告より引用 
https://www.youtube.com/watch?v=PUcK-59_ykI

 

 

 

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー製作委員会」
『シン・仮面ライダー』予告より引用 
https://www.youtube.com/watch?v=PUcK-59_ykI

 

 


それを観た瞬間、僕は思い出してしまった。

 

 


僕は仮面ライダーが好きなんだ。

 

 

 

僕が好きな仮面ライダーに、また会えるかもしれない。庵野秀明という、最高に信頼できるオタクの中のオタクが、僕の大事な、大切なウルトラマンを世間に再び知らしめてくれたあの人が、仮面ライダーを作るんだ。

 

 

 

僕は今、少し心身のバランスを崩し始めている。今の僕は、『シン・仮面ライダー』のことが、仮面ライダーだから」楽しみです。